面接だけでは見抜けない。自社に合う人材を採用する5つのポイント
応募が来て、採用もできた。
けれど働き始めてから「思っていたのと違った」——。
訪問看護ステーションの経営において、採用で一番こわいのが、このミスマッチです。
正直なところ、人を採るときに「自社に合うかどうか」を見抜くのは、非常に難しいことです。
この記事では、ミスマッチを防ぎ、自社にフィットする人材を採用するための考え方を、5つのポイントに整理してお伝えします。
面接だけでは、見抜けない
「面接をすれば、だいたい分かるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし実際のところ、面接だけで見抜くのは難しいのが現実です。
面接の時間は、せいぜい1時間ほど。その限られた時間で「自社に合うかどうか」を判断するには、あまりに情報が足りません。
だからこそ、さまざまな工夫を重ねていかないと、自社のステーションで活躍してくれる看護師さん・療法士さんを選び抜くことはできないのです。
では、具体的にどうすればいいのか。ポイントは5つあります。
1.大前提は「焦らない」
まず大前提として、焦らないこと。
欠員に追われて慌てて採用すると、まず失敗します。
とはいえ、人が足りなければ、つい急いでしまうものです。問題はそこにあります。
「ここで決めないと、また募集からやり直しだ」という状況に追い込まれると、「うちに合うかな?」と気になる点があっても、「今回は目をつぶろう」と判断が甘くなってしまう。
これがミスマッチの原因です。
ですから採用は、短期決戦ではなく中長期で取り組むもの。
普段から計画的に動き、「良い人がいればぜひ」というスタンスで、じっくり向き合える体制をつくっておくことが重要です。
そのうえで、「個人の勘」ではなく「仕組み」で見極めていきます。
結論として、焦って採ると失敗します。中長期のスパンで、計画的に、焦らず採用していくことが大前提です。
2.まず「採用基準」を持つ
採用の仕組みとして最初に必要なのが、基準を持つことです。
自社に合うか・合わないかを判断する採用基準。そもそもこれがなければ、見抜きようがありません。
基準がなければ、その場の雰囲気や面接官の好みで採用を繰り返すことになります。
すると集まる人材のタイプがバラバラになり、「自分のステーションが大切にしたい価値観」という組織の軸が、いつまでも定まりません。
ステーションの文化は、そこで働く人によって形作られるからです。
基準を決めるときは、まず「うちはどんなステーションを目指すのか」をはっきりさせます。
たとえば若手中心でフットワークの軽さで勝負するなら「行動力」が重要になりますし、ベテランで難しいケースに対応していくなら「臨床経験年数」の比重が高くなります。
会社が目指す姿によって、重視すべき基準は変わるのです。
整理するときは、「これだけは必須」という条件と、「あればなお良し」という条件に分けます。
スキルや資格だけでなく、価値観や協調性、コミュニケーション能力といった面も含めてリストにしていきます。
そして、ここが一番大事なのですが、「不採用基準」も決めておくこと。「どんなにスキルが高くても、こういう人は採らない」というNG基準です。
たとえば、前職や同僚の悪口を口にする人。突然連絡を絶つ、引き継ぎを放棄するなど、明らかに不義理な辞め方で前職を辞めている人。自社の理念に共感が見られない人。その前提として、自社のことをよく調べていない人。チームワークを著しく乱しそうな人。
たとえ「訪問経験が豊富で、スキルは高いんだけどな」と思っても、採用はしません。
こうした基準を「組織のルール」として現場と共有し、徹底すること。
これが主観による判断ミスを防ぐ鍵になり、ミスマッチを減らしてくれます。
3.「複数の目」で見る
次に大事な仕組みが、複数の目で見ることです。
誰にでも、自分の主観や利害があります。
たとえば経営者は「この人が来れば売上が上がる」、現場の管理者は「自分の負担が減る」と、無意識に考えてしまうものです。この期待自体は悪いことではありません。
ただ、追い込まれると「多少は目をつぶろう」となりがちで、主観的な判断につながってしまう。
だからこそ冷静に判断するために、採用は「個人戦」ではなく「チーム戦」で行います。一人で決めず、立場の違う2〜3名で見る。
それぞれの視点から質問・評価することで、一人の主観に偏るリスクを減らせます。
面接に入るメンバーは、現場の上長とリクルート担当者を必須として、そこに「利害関係の薄い人」にも参加してもらうのがポイントです。
たとえば看護師の採用に、あえて普段は関わらない療法士や事務スタッフに入ってもらう。
そうしたメンバーは冷静にジャッジができるので、「うちのカラーに合うか」「ステーションの雰囲気に馴染めそうか」を、落ち着いて見ることができます。
もし経営側と現場側で意見が割れたら、原則は「現場の判断をより尊重する」ほうが、うまくいくケースが多いです。
最終的に毎日その人と関わり、指導・育成していくのは現場だからです。
現場が「この人となら一緒に働きたい」と思えるかどうかは、定着に大きく影響します。
4.「複数の場面」で見る
もう一つが、複数の場面で見ること。つまり、面接だけで決めないということです。
面接というのは、どうしても特殊な場です。
相手はよそ行きの顔で来ますし、こちらも限られた時間で評価しなければならない。
だから本音が見えにくく、「面接の印象は良かったのに、働いてもらったら違った」ということが起きやすいのです。
おすすめは、面接の前に一本電話をかけること。
私たちは「初動電話」と呼んでいます。
電話は相手も準備していない状態で出ることが多いため、不意の受け答えや声のトーンから、その人本来の人柄が垣間見えます。素が出るのです。
電話で見えてくるのは、応募の動機、仕事への考え方、差し支えなければ前職の退職理由、そして話し方から伝わる誠実さや明るさ。履歴書だけでは分からない「人となり」です。
電話のかけ方にはコツがあります。事務連絡のように5分で終わらせないことです。
まずアイスブレイクから入り、こちらも名乗って自己開示をして、フレンドリーに。
相手の状況が許せば、時には1時間かけてもかまいません。
「ちゃんと話を聞いてくれるステーションだな」と感じてもらえると、相手の本音が出やすくなります。
こうして書類・電話・面接と、複数の場面を通して見ていきます。
5.最後は「心のざわつき」を信じる
ここまで仕組みの話をしてきましたが、仕組みだけで自社に合う人を採れるかというと、それだけでは難しい面もあります。
最終的に「本当にこの人でいいかな」と迷う場面が、必ず出てくるからです。
そんなときに大事にしてほしいのが、「心のざわつき」です。
「経歴は申し分ない、話も上手。でも、なぜか引っかかる」という感覚。
論理では説明できないけれど、どこか気になる。これは気のせいではなく、これまでの経験で培われた直感が発している警告信号かもしれません。
表面的な情報では見えない本質的な「ズレ」を、無意識に感じ取っているのです。
スキルという分かりやすい魅力に目を奪われず、「なぜ自分は違和感を覚えるんだろう」と立ち止まってみる。
それが、後になって「やっぱりあの時の違和感は正しかった」と後悔しないための自己防衛になります。
ただし、直感も体調や気分でブレるものです。
だからこそ、先ほどお伝えした「外部の目」とセットで使う。
この「内なる声」と「外からの目」の両方をバランスよく活かすことが、見極めの精度を高めてくれます。
まとめ
自社に合う人材を見抜くポイントを、あらためて整理します。
大前提は「焦らない」こと。中長期でじっくり採用していきます。
そのうえで、仕組みをつくること。
まずは「基準を持つ」。こんな人がいいという条件と、「これだけは譲れない」というNG基準を決めておきます。
次に「複数の目で見る」。一人で決めず、リクルーターや現場の上長だけでなく、可能なら利害関係の薄いメンバーにも入ってもらいます。
さらに「複数の場面で見る」。面接だけでなく、初動で電話をして、お互いの理解を深めます。
そして最後に、データだけでなく自分の「心のざわつき」にも耳を傾けること。
中長期のスパンで、複数の目で、複数の場面から見て、「心のざわつき」に素直に従う。
この積み重ねによって、自社にフィットする人材を採用でき、大規模ステーションへの道が開けていきます。


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